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自治体のCAD運用でつまずく4つのポイント|ライセンス認証・一斉更新・管理体制。導入前に確認したいチェックリスト

投稿日:2026.10.06

CADは「導入したら終わり」のソフトウェアではありません。毎年の認証更新、バージョンアップ、端末の入れ替え、担当者の異動──導入後の運用は何年も続きます。

そして自治体・公共機関のCAD運用には、民間企業にはない特有の壁があります。インターネットに接続されない閉域ネットワーク、管理者権限が制限された支給端末、年度単位の調達、定期的な人事異動。こうした条件の下では、民間企業ではつまずかないところでつまずくのです。

IJCAD(システムメトリックス株式会社)が実施した自治体・公共機関ユーザーへのアンケートでは、サポート満足度とあわせて、運用上の困りごと・要望を自由記述で伺いました。本記事では、そこから見えてきた「自治体のCAD運用でつまずきやすい4つのポイント」を、導入前に確認すべきチェックリストとともに紹介します。

調査概要

  • 調査名:IJCAD自治体・公共機関ユーザーアンケート(2026年)
  • 調査主体:IJCAD(システムメトリックス株式会社)
  • 調査時期:2026年8月
  • 調査方法:Webアンケート
  • 有効回答数:43件(自治体・公共機関でIJCADを利用中のユーザー)

本調査の留意点:回答者はいずれもIJCADを利用中の団体です。本記事で扱う運用課題は、自由記述の回答でいただいたご意見(8件)を、公共機関に共通する運用構造の課題として編集部で整理・一般化したものです。回答数が限られるため、定量データは割合と件数を併記します。

自治体のCAD運用、サポート満足度は平均3.7点【調査結果】

まず、CADベンダーのサポート体制への満足度(5段階)です。

CADベンダーのサポート体制への満足度(5段階)のグラフ

平均は3.7点。4以上の「満足」層が51.2%(22件)を占め、2以下は1件のみでした。

一方で最も多い回答は「3(ふつう)」の46.5%です。日常的にトラブルなく使えていれば、サポートと接点を持つ機会自体が少なく「ふつう」と評価される。そう考えると自然な分布ですが、裏を返せば、サポートの真価が問われるのは、認証・更新・インストールといった「運用イベント」が発生した瞬間だということです。

自由記述の回答で寄せられた困りごとも、まさにこの運用イベントに集中していました。以下、4つのポイントに整理します。

つまずきポイント①:閉域環境でのライセンス認証・年次更新

自治体・公共機関のCAD利用環境のアンケート記事のとおり、回答団体の約7割はLGWAN・オフラインというインターネット非接続環境でCADを利用しています。この環境では、一般的なオンライン認証(ライセンスアクティベーション)がそのままでは成立しません。

実際、自由記述の回答でも「LGWAN環境では認証ができないため、更新時の認証作業が負担になっている」という趣旨の声が寄せられています。年に一度の更新作業であっても、台数分の作業が閉域環境で発生すれば、現場の負担は小さくありません。

■ 導入前チェック

  • 閉域・オフライン環境に対応した認証方式(オフライン認証、USBキー等)が用意されているか
  • 年次更新・再認証の作業手順と、1台あたりの所要時間
  • 認証切れが発生した場合の猶予期間と復旧手順

つまずきポイント②:全端末への一斉インストール・バージョンアップ

自治体の支給端末は、セキュリティ上、一般職員に管理者権限が付与されていないことがほとんどです。このため、CADのインストールやバージョンアップのたびに「システム管理者に来てもらい、1台ずつ作業してもらう」体制になりがちです。

自由記述の回答でも「毎年のバージョンアップで、管理者権限での作業を全端末に行う必要があり、時間も手間もかかる」という声がありました。台数が多いほど、この負担は倍々で効いてきます。

■ 導入前チェック

  • 一括展開の手段(サイレントインストール、配布ツール対応等)があるか
  • 毎年のバージョンアップが必須か、任意のタイミングでよいか(バージョン混在の可否)
  • 情シス部門の作業をどこまで削減できるか(作業手順書の提供有無)

つまずきポイント③:ライセンスの管理体制と人事異動

自治体は数年単位の定期異動が前提の組織です。ライセンスの管理者アカウントが特定の職員1人に紐づいていると、異動・退職のたびに引き継ぎが発生し、手続きが滞るリスクがあります。

自由記述の回答でも「ライセンス管理者を複数人にしたい」という要望や、「ライセンス形態の移行手続きが分かりにくかった」という声がありました。ライセンス管理は「誰が」「どの台帳で」「どう引き継ぐか」まで含めて設計しておく必要があります。

■ 導入前チェック

  • ライセンス管理者を複数登録できるか、または代表アカウント(共用メール等)で運用できるか
  • 異動時の管理者変更手続きの方法と所要日数
  • 保有ライセンスの一覧(台帳)をいつでも確認できるか

つまずきポイント④:サポートとの連絡手段・マニュアルの参照性

閉域環境では、オンラインヘルプ・チャットサポート・FAQサイトといった「ネット前提のサポート導線」が執務端末から使えない場合があります。また問い合わせ手段がメールのみだと、緊急時のやり取りに時間がかかるという声もありました。

■ 導入前チェック

  • 閉域環境の端末からも参照できるマニュアル(PDF・冊子等)が提供されるか
  • 問い合わせ手段(メール/電話)と、回答までの目安時間
  • 問い合わせできる担当者の範囲(登録ユーザーのみか、情シスからも可能か)

【保存版】自治体のCAD導入・運用チェックリスト

ここまでの4ポイントを、調達前の確認事項として一覧化しました。仕様書作成や庁内説明、ベンダーへの質問状にそのままご活用ください。

自治体のCAD導入・運用チェックリスト(調達前に確認したい10項目)

なお、運用面の前段となる「選定段階」のチェックポイント(コスト総額の比較・実図面でのDWG互換確認)は、「自治体のCAD乗り換え実態のアンケート記事」で解説しています。

「運用の質問」を調達前にまとめることが重要

機能やスペックの比較は、カタログを並べればある程度できます。しかし導入後に効いてくるのは、本記事で見てきたような「運用の設計」です。そしてこれは、製品カタログにはほとんど書かれていません。

だからこそ、調達前の質問が重要になります。上のチェックリスト10項目を各ベンダーに同じ形式でぶつけ、明確に回答できるかどうか自体を評価項目にする。これが、導入後のつまずきを最も確実に減らす方法だと、今回の調査で寄せられた声は示しています。

まとめ

  • サポート満足度は平均3.7点、「満足」層が51.2%。一方で運用イベント(認証・更新・インストール)に困りごとが集中
  • つまずきやすいのは「閉域環境での認証・年次更新」「全端末への一斉展開」「人事異動を前提とした管理体制」「閉域でのサポート導線」の4点
  • 対策は調達前の確認に尽きる。チェックリスト10項目を仕様書・質問状に転用を

なお、IJCADでは認証・更新・インストール時のサポートを電話でも受け付けており、移行時のサポート(予約制)もご用意しています。詳細は「IJCAD電話サポートのご案内」をご覧ください。

IJCADは、LGWAN・オフライン環境向けの認証方式を含め、自治体・公共機関の運用実態に合わせた導入のご相談を承っています。調達前の「運用の質問」も歓迎です。

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YI

執筆者

スプリングボルト

家業(ゆるみ防止ねじの製造・販売・開発)

YI

Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。

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