執筆者
YI
Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。
投稿日:2026.10.06
CADソフトの見直しは、いまや民間企業だけの話ではありません。
CAD市場ではサブスクリプション化と継続コストの上昇が続き、限られた予算で全庁的にライセンスを維持しなければならない自治体・公共機関にとって、CADの調達は年々シビアな判断になっています。では実際に、CADを乗り換えた自治体は「何から何に」「なぜ」移行したのでしょうか。
IJCAD(システムメトリックス株式会社)が実施した自治体・公共機関ユーザーへのアンケートから、公共分野のCAD乗り換えの実態と、これから検討する担当者のためのチェックポイントを紹介します。
本調査の留意点:回答者はいずれもIJCADを導入済みの団体であるため、本記事のデータは「自治体のCAD乗り換え市場全体」ではなく「IJCADを選んだ団体の導入経緯・選定理由」を示すものです。回答数も43件と限られるため、各数値は割合と件数を併記します。
まず、IJCADをどのような形で導入したかを聞きました。

最も多かったのは「完全乗り換え」の58.1%でした。既存CADを残しながら段階的に移行する「併用」(18.6%)の3倍以上です。
自治体の調達では、ライセンスの重複保有はコスト説明が難しく、「使うCADを一本化して切り替える」判断になりやすいという事情が背景にあると考えられます。裏を返せば、乗り換え先には「業務を止めずに切り替えきれること」が最初から求められているということでもあります。
一方で「新規導入」も20.9%ありました。これまで外部委託していた図面修正の内製化や、部署新設に伴う導入など、自治体の中で「CADを新しく使い始める」場面は現在も一定数あることがうかがえます。
次に、IJCAD導入前に使っていたCADを聞きました(複数回答)。

移行元として最も多かったのはAutoCADの76.7%でした。AutoCADは長年、図面データの事実上の標準であるDWG形式の中心的存在であり、自治体にも広く導入されてきました。
近年はライセンス形態がサブスクリプション中心となり、複数ライセンスを長期間維持する場合の総コストが予算編成上の課題になりやすくなっています。毎年度の予算査定でライセンス費用の説明を求められる自治体にとって、「同じDWG図面を扱えて、コストを抑えられる選択肢」を検討する動機は、民間企業以上に構造的なものと言えます。
注目したいのは、無償CADであるJw_cadからの移行が39.5%あることです。コストがかからないJw_cadからあえて有償CADへ移行するのは、「安くしたい」とは別の動機、すなわちDWG形式への標準化です。
国や都道府県、受託業者とやり取りされる図面はDWG形式が中心であり、JWW形式との変換には文字化けや線種のズレなどの実務負担が伴います。Jw_cadからの移行は、この変換業務の解消・データ互換性の確保を目的とした動きと読み取れます。
では、数あるCADの中からIJCADを選んだ理由は何だったのでしょうか(複数回答)。

1位は予想通り「ライセンスコストの低減」の69.8%。しかし注目すべきは、「移行のしやすさ・操作性」と「DWG互換性」がともに46.5%で同率2位に並んでいることです。
いくら価格が下がっても、職員が操作を覚え直すのに何ヶ月もかかったり、過去の図面資産が正しく開けなかったりすれば、その損失は価格差で相殺されてしまいます。つまり自治体のCAD選定は「安いから選ぶ」のではなく、「業務を止めずに移行できることを確認したうえで、コストメリットを取りにいく」という判断構造だと読み取れます。
件数は少ないものの、「LGWAN等、自治体運用への適合」(4件)、「他自治体での導入実績」(3件)という回答は、公共分野特有の選定要件です。自治体・公共機関のCAD利用環境のアンケート記事のとおり、回答ユーザーの約7割はLGWAN・オフライン環境でCADを利用しており、閉域環境で確実に動作・認証できることは、公共調達では事実上の前提条件になります。
調査結果を踏まえ、これからCADの乗り換えを検討する担当者向けに、確認すべきポイントを整理します。
比較すべきは年間ライセンス費用だけではありません。操作研修にかかる時間、既存図面の変換・検証作業、移行期間中の業務効率低下。これらの「移行コスト」を含めた総額で比較することで、稟議・予算要求の説得力も上がります。調査で「移行のしやすさ」が2位に入ったのは、現場がこの移行コストの重さを知っているからだと言えます。
DWG互換性はカタログ上の「対応形式」の記載だけでは判断できません。確認は実際の業務図面で行うのが確実です。
選定理由ランキングは、そのまま調達要件の優先順位づけに転用できます。「DWG形式の図面資産○○件が編集可能であること」「LGWAN環境で認証・動作すること」「既存CADと同等の操作体系であること」といった形で仕様書に明文化しておくと、価格だけの比較に流れない調達ができます。
また、認証方式・一斉インストール・ライセンス管理体制といった「運用面」の確認項目は、別アンケート記事「自治体のCAD運用でつまずく4つのポイント」のチェックリスト12項目をあわせてご活用ください。
今回の調査から見えた自治体のCAD乗り換えは、次のような構図です。
「コストで検討が始まり、互換性で決まる」──この構図は、これから乗り換えを検討する自治体や公共機関にとっても、判断の順序をそのまま示していると言えるでしょう。
IJCADは、AutoCADからの移行のしやすさとDWG互換性、そして自治体運用(LGWAN・オフライン環境)への対応を強みとするCADソフトです。導入をご検討の際は、実際の図面データでの検証も含めてご相談いただけます。
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YI
Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。
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