執筆者
YI
Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。
投稿日:2026.08.04
CADソフトの導入時や、PC(パソコン)の買い替え時に「CAD用のパソコンは、どこまでのスペックが必要なのか」という疑問をお持ちになったことはありますか?
各CADソフトの公式サイトを検索すれば「推奨スペック」の情報は数多く見つかります。しかし、現役のCADユーザーが実際にどんなPCで日々の業務をこなしているのかという一次データは、意外なほど見つかりません。
そこでIJCADコラム編集部では、CADを業務で使用しているユーザーを対象に、PC環境に関する独自アンケートを実施しました。本記事では、その結果から見えてきた「現場のリアルなPCスペック」をデータで紹介します。
最多のPCスペックはメモリ16GB・内蔵GPUで、CADのカタログ上の「理想」と現場が選択するPCスペックの「現実」には、はっきりとしたギャップがありました。
本調査の留意点:本アンケートはIJCADとこれまで接点があったお客様に対して実施しているため、回答者はIJCADユーザーが中心(メイン使用CADの68.4%がIJCAD)で、2D CAD利用者が多い構成です。本記事のデータは「CADユーザー全体の傾向」ではなく「本アンケートの回答者の傾向」としてご覧ください。
なお、回答者の使用図面タイプは「2D CADのみ」が78.9%、「2Dと3Dの両方」が21.1%でした。この「2D中心の母集団」であることが、以降のアンケート結果を読み解くうえで重要なポイントになります。
まず、CAD業務で使用しているメインPCのタイプを聞きました。

| PCタイプ | 回答数 | 割合 |
| デスクトップPC | 59件 | 51.8% |
| ノートPC | 55件 | 48.2% |
「CADは処理が重いからデスクトップ一択」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際にはノートPCが48.2%と、ほぼ半数を占めました。
背景にあるのは、働き方の変化です。本調査でも、回答者の約半数がオフィス以外(在宅・現場・客先など)でCADを操作する機会があると回答しており、「社内の固定席で据え置き機を使う」だけがCADの使い方ではなくなっています。働く場所の多様化と外出先での図面データの扱い方は、「【2026年】CADはどこで使われているか調査」で詳しく紹介しています。
ノートPCの性能向上により、2D CAD中心の業務であれば携行性と処理能力を両立できるようになったことも、この比率を後押ししていると考えられます。
次に、メインPCに搭載されているメモリ(RAM)容量です。

| メモリ容量 | 回答数 | 割合 |
| 8GB以下 | 4件 | 3.5% |
| 16GB | 63件 | 55.3% |
| 32GB | 26件 | 22.8% |
| 64GB以上 | 13件 | 11.4% |
| 分からない | 8件 | 7.0% |
最多は16GBで55.3%と過半数。32GB以上のユーザーは合わせて34.2%でした。
「CADには32GB必要」というウェブ上の情報も見かけますが、本調査の回答者では16GBが主流です。これは母集団の78.9%が2D CADのみの利用者であることも理由の一つと言えるでしょう。2D図面の作成・編集が中心であれば、16GBで実務が回っているのが現場の実態と言えます。実際に、IJCADでも推奨動作環境として「8GB以上のRAM」を挙げています。
ただし注意点もあります。同アンケートのCAD業務の不満・ストレス実態の調査では、「大容量データを開く・保存するのに時間がかかる」が不満の第1位でした。日常業務はメモリ16GBで回っていても、大規模な図面データを扱う場面では余裕がなくなる──そんな実態も同時に見えています。
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図面タイプ別にクロス集計すると、傾向の違いが見えます。

3Dを併用するユーザーでは、32GB以上の比率が明確に高くなります。3Dモデルの取り扱いや解析を視野に入れるならメモリ32GB以上、2D中心ならメモリ16GBが現実的なラインということが分かりました。ユーザーの選択も、おおむねこのセオリー通りに分布していました。
「CADにグラフィックボード(外部GPU)は必要か」は、PC選定で最も迷いやすいポイントです。

| GPU環境 | 回答数 | 割合 |
| 内蔵グラフィックスのみ | 71件 | 62.3% |
| 外部グラフィックボードあり(NVIDIA RTX/Quadro、GeForce、AMD Radeonなど) | 24件 | 21.1% |
| 分からない | 19件 | 16.7% |
「内蔵グラフィックスのみ」が62.3%と、外部GPU搭載機(21.1%)を大きく上回りました。
ここでも図面タイプ別に見ると、実態がより鮮明になります。
2D専業ユーザーの外部GPU保有率はわずか15.6%でした。つまり、2D CAD中心の業務では、内蔵GPUで実務をこなしているのが多数派です。「CAD=グラフィックボード必須」という思い込みで高価なPCを選ぶ前に、ご自身のCAD業務が2D中心か3D中心かを見極めることが、過剰投資を避ける第一歩と言えます。
一方、3D併用ユーザーでは外部GPU保有率が4割を超えます。3Dモデルの回転・シェーディング表示、レンダリング、大規模な点群データの取り扱いなどでは、GPU性能が描画の快適さに直結するためです。3D CADやBIMへのステップアップを見据えるなら、外部GPU搭載機を選んでおく価値があります。
作業画面の環境も聞きました。

| モニター数 | 回答数 | 割合 |
| 1画面(シングル) | 48件 | 42.1% |
| 2画面(デュアル) | 60件 | 52.6% |
| 3画面以上 | 6件 | 5.3% |
過半数の52.6%が2画面(デュアルモニター)で作業しています。図面を全画面で表示しながら、もう1画面で仕様書やメール、参照図面を開くという使い方は、CAD業務の生産性向上策としてすっかり定着していると言えそうです。
興味深いのは、ノートPCユーザー(n=55)に限っても61.8%が2画面以上で作業している点です。ノートPCを持ち運びつつ、社内のデスクでは外部モニターに接続するスタイルが広がっていることがうかがえます。
今回の調査結果をまとめると、本アンケート回答者の「ボリュームゾーン」は下図のようになります。

一般に紹介される「CAD推奨スペック」と比べると控えめな構成ですが、これは回答者の約8割が2D CAD中心という利用実態も反映されています。裏を返せば、スペック選定は「CADだから」ではなく「何の図面を、どの規模で扱うか」で決めるべきだということをこの分布は示しています。
より詳しいスペックの選び方(CPU・ストレージ・職種別の推奨構成など)は、「CAD用パソコンの選び方|必要な容量やメモリ、おすすめアプリを解説」で解説していますので、あわせてご覧ください。
本調査から見えたのは、「思ったより普通のPCでCADは動いている」という現場の実像でした。
高スペックPCへの買い替えだけがCAD業務の快適さへの道ではありません。ソフトウェア側の「動作の軽さ」も、作業の快適さを左右する重要な要素です。
IJCADはAutoCADと高い互換性を持ちながら、軽快な動作を特長とするCADソフトです。「今のPCのままで、CAD作業をもっと快適にしたい」という方は、まずは無料体験版でお手元のPC環境での動作を試してみてください。
YI
Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。
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