執筆者
YI
Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。
投稿日:2026.08.04
「会社のオフィスのデスクトップPCでじっくり図面を描く」
CADのその使い方は、いまも変わらず現役です。実際、本調査でも回答者の半数はデスクトップPCで作業しています。
一方でこの数年、在宅勤務の定着、現場への直行直帰、客先での打ち合わせと、働く場所の多様化が進み、「オフィスの外でもCADを使う」という選択肢が、従来の使い方に加わりつつあります。では実際、CADユーザーはどこで作業し、図面データをどうやって持ち出しているのでしょうか。
IJCADが実施した独自アンケートから、CADを使う「場所」のリアルな実態と、外出先での図面データの扱い方を紹介します。
本調査の留意点:本アンケートはIJCADとこれまで接点があったお客様に対して実施しているため、回答者はIJCADユーザーが中心(メイン使用CADの68.4%がIJCAD)で、2D CAD利用者が多い構成です。本記事のデータは「CADユーザー全体の傾向」ではなく「本アンケートの回答者の傾向」としてご覧ください。
まず、直近3ヶ月にCAD業務を行った場所を聞きました。

| 働き方 | 回答数 | 割合 |
| 完全にオフィス(社内)のみ | 59件 | 51.8% |
| ほぼオフィスだが、たまに外出先・客先・在宅でも行う(月1〜2回程度) | 31件 | 27.2% |
| オフィスと外出先(または在宅)のハイブリッド(週1〜2回は外や自宅) | 16件 | 14.0% |
| ほとんど外出先・客先・在宅で行っている(週3回以上) | 8件 | 7.0% |
「完全にオフィスのみ」は51.8%。裏を返せば、48.2%はオフィス以外の場所でもCADを操作していることになります。CADの作業場所は、いまや「オフィス派」と「持ち出す派」でほぼ半々に割れているのが実態です。
実際、オフィス以外でも作業する層のノートPC比率は58.2%と、オフィスのみ層(39.0%)を約19ポイント上回りました。「持ち出す働き方」がPC選びにも表れています(実際に使われているPCスペックの詳細は「【2026年】CADユーザーのPC環境実態調査」で詳しく解説しています)。
内訳を見ると、最も多いのは「たまに外でも行う(月1〜2回程度)」の27.2%で、「週3回以上外で作業する」ヘビーなリモート層は7.0%にとどまります。
つまり実態は「CADワークの完全リモート化」ではなく、普段はオフィス、必要なときだけ持ち出すという“ゆるやかな多様化”です。この「時々持ち出す」という頻度感こそが、後述するデータの持ち出し方法や環境づくりを考えるうえでの前提になります。
オフィス以外でも作業すると答えた方(55名、回答60件)に、その場所を聞きました。

| 場所 | 回答数 |
| 自宅(在宅勤務・リモートワーク) | 32件 |
| 建設現場・工場の作業スペース、サテライトオフィス | 17件 |
| 客先のオフィス・打ち合わせスペース | 7件 |
| 移動中(新幹線など)やカフェ、コワーキングスペース | 2件 |
最も多かったのは「自宅」でした。かつて在宅勤務と相性が悪いとされてきた設計業務ですが、ノートPCの性能向上やデータ共有手段の普及により、「図面を自宅で描く・直す」ことは特別なことではなくなりつつあります。
2番目に多かったのは「建設現場・工場の作業スペース」です。回答者の職種を見ると建築・土木設計を中心に、機械や電気・電子設計まで幅広く含まれており、「現地で図面を確認し、その場で手を入れる」ニーズが職種を問わず存在することがうかがえます。
現場事務所のスペースや騒音・粉塵といった環境面の制約もあるなか、ノートPC1台で図面を開ける機動力の価値は大きいと言えます。
外出先での作業で問題になるのが「図面データへのアクセス方法」です。

| 方法 | 回答数 | 割合 |
| ローカル(PC本体)にあらかじめデータを保存して持ち出している | 32件 | 55.2% |
| モバイルWi-Fiやテザリング等でクラウドや社内サーバーにアクセス | 18件 | 31.0% |
| オフィスのPCにリモートデスクトップ(VPN等)で接続して操作 | 4件 | 6.9% |
| クラウドPC・VDI環境(仮想デスクトップ)を使用 | 4件 | 6.9% |
最も多かったのは、事前にPC本体へデータをコピーして持ち出す方法で55.2%でした。シンプルで通信環境に左右されない、誰でも今日からできる方法です。「時々持ち出す」程度の頻度なら、これで十分に回るという判断でしょう。
一方でローカル持ち出しには、運用上の注意点があります。
「時々持ち出す」働き方は手軽さはありますが、持ち出しルール(最新版の所在を一意にする、編集中はロックする、暗号化を必須にする等)を決めておくことが、トラブル防止の要になります。
| 方法 | 強み | 注意点 | 向いているケース |
| ローカル持ち出し | 通信不要・確実に動く | バージョン管理・紛失リスク | 出張・現場など通信が不安定な場所 |
| クラウド/社内サーバー直接アクセス | 常に最新データ | 通信環境に依存、大容量DWGの同期に時間 | 在宅勤務など通信が安定した場所 |
| リモートデスクトップ(VPN) | データが社外に出ない | 操作遅延、社内PCの常時起動が必要 | セキュリティ要件が厳しい企業 |
| クラウドPC・VDI | 端末を選ばず高セキュリティ | 導入・運用コスト | 全社的なリモート体制の整備 |
本調査ではリモートデスクトップとVDIの利用は合わせて13.8%と少数派でしたが、セキュリティ要件の厳しい企業を中心に、今後増えていく選択肢と考えられます。
持ち出しを前提にするならノートPCが軸になります。本調査でも、ノートPCユーザーの6割超がオフィスでは外部モニターに接続して2画面で作業しており、「持ち運びはノート、デスクでは大画面」という組み合わせが定番化しています。外出先の画面の狭さには、軽量なモバイルモニターの携行も有効です(必要スペックの実態は「【2026年】CADユーザーのPC環境実態調査」で、外出先の不満と対処は「【2026年】CAD業務の不満・ストレス実態調査」で詳しく解説しています)。
ローカル持ち出し派もクラウド派も、大事なのは「正」となるデータの置き場所を1つに決めることです。ファイル命名規則(日付・版数)の統一、編集中ファイルのロック運用、持ち出しPCのディスク暗号化をセットで決めておくと、少人数の設計チームでも破綻しにくくなります。
意外と見落とされがちなのがCADライセンスの可搬性です。ライセンスが特定のPCに固定されていると、「外出用ノートにはCADが入っていない」という壁に突き当たります。
たとえばIJCADの場合、インターネット接続があればどのPCでも利用できるライセンス(シングル)や、ネット環境のない現場でも使えるUSBライセンスなど、働く場所に合わせた形態を選べます。タブレット等で図面を確認できるIJCAD Mobileもあり、「現場では閲覧・注記だけできればよい」という使い方にも対応できます。お使いのCADのライセンス条件を一度確認しておくと、持ち出しの自由度が変わります。
今回の調査から見えたのは、劇的なリモートシフトではなく、約半数のユーザーが月に数回〜週に数回、CADを持ち出して使うという「ゆるやかな多様化」でした。
この働き方では、CADは「オフィスの高性能デスクトップ」ではなく「持ち歩けるノートPC」で動かす場面が増えます。不満調査で「外出先で画面が小さい」が2位に入ったように、モバイル環境はハードウェアの制約が大きい環境でもあります。だからこそ、限られたスペックのノートPCでも軽快に動くソフトウェアかどうかが、これからのCAD選びの実用的な判断軸になります。
IJCADは、軽快な動作と働く場所に合わせて選べるライセンス形態で、「持ち出すCADワーク」を支えます。お使いのノートPCで快適に動くか、まずは無料体験版でお確かめください。
YI
Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。
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