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【2026年調査】自治体・公共機関のCAD利用環境|約7割が”インターネットに繋がらない環境”で使用

投稿日:2026.10.06

CADソフトの情報は、クラウド連携、高性能なワークステーション、最新GPU──そんな「つながる・高スペック」前提で語られることがほとんどです。

しかし、役場や市区町村といった地方自治体におけるCAD現場は、まったく別の世界です。庁内ネットワークはインターネットから分離され、支給PCのスペックは選べず、扱う図面は今も2Dが中心といったように「自治体や公共機関のCAD利用環境の実態」は、これまでデータとして語られる機会がほとんどありませんでした。

IJCAD(システムメトリックス株式会社)では、IJCADを利用中の自治体・公共機関ユーザーを対象に、利用環境に関するアンケートを実施しました。本記事ではその結果から、公共分野のCAD利用環境のリアルなデータを紹介します。

調査概要

  • 調査名:IJCAD自治体・公共機関ユーザーアンケート(2026年)
  • 調査主体:IJCAD(システムメトリックス株式会社)
  • 調査時期:2026年8月
  • 調査方法:Webアンケート
  • 有効回答数:43件(自治体・公共機関でIJCADを利用中のユーザー)

本調査の留意点:回答者はいずれもIJCADを導入済みの自治体・公共機関ユーザーであり、回答数も43件と限られています。本記事のデータは「自治体全体の傾向」ではなく「本アンケートの回答団体の傾向」としてご覧ください。各数値は割合と件数を併記します。

約7割が「インターネット非接続」環境でCADを使っている【調査結果】

まず、CADソフト「IJCAD」を実行しているネットワーク環境を聞きました。

自治体・公共機関でIJCADを実行しているネットワーク環境の分布グラフ

最多はLGWAN環境の46.5%。オフライン環境と合わせると、74.4%(32件)がインターネットに接続されていない環境でCADを利用していることになります。

LGWAN環境が最多46.5%──自治体ネットワークの三層分離とCAD

LGWAN(総合行政ネットワーク)は、自治体間・省庁間を結ぶ閉域ネットワークです。多くの自治体では、セキュリティ対策として庁内ネットワークを「マイナンバー利用事務系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」に分ける三層分離(三層の対策)を採っており、業務システムや文書作成が行われるLGWAN接続系の端末は、原則インターネットに接続できません。

道路・上下水道・公共施設の図面を扱うCADも、多くの場合このLGWAN接続系(またはスタンドアロンのオフライン端末)に置かれます。今回の調査結果は、この構造をそのまま映したものと言えます。

「クラウド前提」のCAD選びが通用しない世界

自治体におけるCAD選定は、インターネット非接続が標準環境であるという前提のもと行われます。

  • ライセンス認証:オンライン認証(アクティベーション)が成立しない。オフライン認証やUSB認証など、非接続環境で完結する認証方式が必須
  • アップデート:自動更新は使えず、インストーラの持ち込みと手動更新が前提
  • クラウド連携機能:クラウドストレージ連携・オンラインヘルプなど、ネット前提の機能は事実上使えない

上記のとおり、自治体のCAD選定では、機能一覧の比較よりも先に「この環境で動くのか・認証できるのか」という関門があるわけです。

なお、ライセンス認証や一斉アップデートなど「導入後の運用」でつまずきやすいポイントは、別アンケート記事「自治体のCAD運用でつまずく4つのポイント」で詳しく整理しています。

自治体のCAD用PCは「ノート・省スペック」が主流

次に、IJCADを利用しているPC環境です。

自治体・公共機関のCAD用PCタイプの分布グラフ
自治体・公共機関のCAD用PCのメモリ容量の分布グラフ

一般ユーザーとの比較──ノート率77% vs 48%、8GB以下26% vs 4%

この構成は、弊社が2026年6月に実施した民間企業中心のCADユーザーのPC環境実態調査と比べると、違いが際立ちます。

自治体・公共機関と民間企業中心調査のPC環境比較グラフ

自治体・公共機関では、CAD専用機ではなく事務用として一括調達されたノートPCでCADを動かしている姿が浮かびます。メモリ8GB以下が4人に1人という水準は、民間調査(3.5%)とは桁違いです。

「メモリ容量が分からない」が3人に1人

もう一つ特徴的なのは、メモリ容量「不明」が32.6%に上る点です。民間調査では7.0%でした。

これはリテラシーの問題というより、支給PCをそのまま使う運用で、スペックを意識・選択する余地がそもそも少ないことの表れと考えられます。増設や買い替えの裁量が現場になく、「与えられた端末で動くかどうか」がすべてとなっており、これも自治体CAD環境のリアルを表しています。

図面は「2Dのみ」が93%

自治体・公共機関で扱う図面タイプの分布グラフ

道路・上下水道・施設管理──自治体業務と2D図面

自治体でCADが使われるのは、道路・上下水道の維持管理、公共施設の営繕、開発申請図面の確認といった場面が中心です。これらの業務では、過去数十年にわたり蓄積された2D図面(DWG/JWW等)の閲覧・修正が主業務であり、2Dのみ93%という数字はその実態を反映しています。

国はBIM/CIMの活用を推進していますが、市区町村の日常業務レベルでは、当面「2D図面を確実に、低コストで扱えること」が実務要件の中心であり続けることが、このデータからうかがえます。

自治体のCAD選定はスペック比較と別の軸で動く

今回の調査から見えた自治体・公共機関のCAD環境をまとめると、ネットワークはLGWAN・オフラインが約7割、PCはノート型・省スペックが主流で現場にスペック選択の裁量が少なく、図面は2Dのみが93%でした。

この環境でのCAD選定要件は、民間企業で語られる「高機能・高スペック・クラウド連携」とはまったく別の軸で構成されます。

  1. 閉域・オフライン環境で認証と運用が完結すること
  2. 省スペックの事務用PCでも軽快に動作すること
  3. 既存資産である2D DWG図面を確実に扱えること
  4. 限られた予算内で全庁的に導入できるライセンスコストであること

言い換えれば、自治体のCAD選びは「何ができるか」より「今の制約の中で確実に動くか」の見極めです。CADの導入・更新を検討する際は、カタログスペックの前に、この4要件を仕様として明文化することをおすすめします。

実際にIJCADを導入した自治体や公共機関が「何を決め手に選んだか」の実データは、別アンケート記事「自治体のCAD乗り換え実態」で紹介しています。

まとめ

  • IJCAD導入自治体・公共機関ユーザー43件の回答では、74.4%がLGWAN・オフラインのインターネット非接続環境でCADを利用
  • PCはノート型76.7%・メモリ8GB以下25.6%と、事務用端末での運用が主流。「スペック不明」も3人に1人
  • 図面は2Dのみが93.0%。2D DWGの確実な取り扱いが実務要件の中心
  • 自治体のCAD選定は「閉域で動く・省スペックで動く・2Dを確実に・低コスト」という民間とは別の4要件で動く

IJCADは、LGWAN・オフライン環境に対応した認証方式を用意しており、全国の自治体・公共機関でご利用いただいています。閉域環境でのCAD導入・更新をご検討の際は、環境要件の確認からお気軽にご相談ください。

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YI

執筆者

スプリングボルト

家業(ゆるみ防止ねじの製造・販売・開発)

YI

Webマーケティングとシステム開発の両領域で企業支援を行う。製造業分野におけるCAD利用・データ活用に携わった経験を持ち、現在はその知見をもとにCADソフトの比較・選定、業務効率化に関する情報発信を行っている。 現場視点とデジタルの両面から、「実務で使えるCAD選び」をテーマに執筆。

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