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CADユーザー必見!設計スピードを変える定番ショートカット集 

投稿日:2026.07.17

建設・土木・製造の現場において、設計や製図のスピードはそのまま業務効率に直結します。マウスでリボンメニューからアイコンを一つずつ探してクリックしていませんか?

同じ図面を描いても、マウスでリボンを往復する人と、左手のキー操作でコマンドを呼び出す人とでは、1日の作業量に大きな差が生まれます。

本記事では、AutoCAD系CADで共通して使える定番のコマンドエイリアス・ショートカットキーを、作図・編集・表示・管理の場面別に整理しました。あわせて、記事の後半では自分専用のショートカットを育てるカスタマイズ方法や、チーム全体で操作環境を統一する方法も解説します。

なぜショートカットの習得が設計スピードを左右するのか

「コマンドを探す時間」で作業時間が消えていませんか?

CAD操作にかかる時間の内訳として、実際に線を引いている時間よりも、「次のコマンドを探す」「リボンやメニューを切り替える」といった段取りの動作に多くの時間が費やされているのではないでしょうか。

リボンからアイコンを探してクリックする操作は、1回あたりわずか数秒です。

しかし、実務では1日に数百回のコマンド実行が発生するため、この数秒の積み重ねが合計で数十分、月間では数時間という無視できない差になります。ショートカットの習得は、この「探す時間」を根本から削減できる、最も確実で費用のかからない方法です。

左手はキーボード、右手はマウスの基本形

エイリアス(コマンドの短縮キー)を使いこなす設計者に共通しているのが、左手をキーボードのホームポジション付近に置き、右手はマウス操作に専念させるという分業スタイルです。

このスタイルが定着すると、コマンドの呼び出しと図形の指示が同時並行で進むようになり、視線を作図領域から外す回数が激減します。視線移動が減ることは、スピードだけでなく、選択ミスや入力ミスといった作図事故の防止にもつながります。

習得は「一気に全部」ではなく「週に数個ずつ」

ショートカットは一夜漬けで覚えるものではありません。一度にすべてを暗記しようとすると、かえって操作に迷いが生まれ、作業が遅くなる期間が長引きます。

現実的な進め方は、使用頻度の高いコマンドから週に数個ずつ手に馴染ませていく方法です。

まずは本記事で紹介する編集系の定番から始めて、「リボンに手を伸ばす回数が減った」という実感を得ながら、少しずつレパートリーを広げていきましょう。

また、AutoCADの「互換CAD」として開発されたIJCAD等の製品では、コマンドやエイリアス(短縮コマンド)のほとんどが全く同じです。AutoCADで覚えた操作はそのままIJCAD等でも通用します。

注意
コマンドエイリアスの初期設定は、ソフトによって異なることがあります。
ここでは多くのソフトで使われているコマンドのパターンを紹介しますが、開発元が公式ヘルプセンターを公開していれば、併せて活用しましょう。

まずはここから!作図系コマンドの定番エイリアス

線や円などの図形を新しく描く操作は、作図の入り口として最も回数の多い領域です。
キーを1〜3文字打ってEnter(またはスペースキー)を押すだけでコマンドが起動します。

エイリアス正式コマンド機能・説明
LLINE線分:直線を引く。すべての基本です。
CCIRCLE:中心点と半径(または直径)を指定して円を描く。
RECRECTANG長方形:対角の2点を指定して四角形を描く。
PLPLINEポリライン:線分と円弧が繋がった連続線を描く。
HHATCHハッチング:閉じた領域にパターンやグラデーションを傾斜・充填する。
T(またはMT)MTEXTマルチテキスト:複数行の文字を入力する。

作図系で意識したいのは、Enterキーの代わりにスペースキーを使う習慣です。スペースキーは親指で押せるため、左手の移動距離が最小で済みます。
また、直前のコマンドはスペースキー(またはEnter)の空打ちで再実行できるため、同じ図形を連続して描く場面でさらに手数を減らせます。

使用場面多数!編集系コマンドの定番エイリアス

実務の作図では、ゼロから描く時間よりも、描いた図形を修正・複製・調整する時間のほうが長くなります。
スピードアップの効果が最も大きいのはこの編集系と言えます。優先的に習得しましょう。

エイリアス正式コマンド機能・説明
MMOVE移動:オブジェクトを別の場所へ動かす。
CO(またはCP)COPY複写:オブジェクトをコピーする。
ROROTATE回転:基点を中心にオブジェクトを回転させる。
OOFFSETオフセット:指定した距離だけ平行に複製する(等間隔の線や壁厚に便利)。
TRTRIMトリム:交差する境界線を基準に、不要な部分を切り取る。
EXEXTEND延長:指定した境界線まで線を伸ばす。
MIMIRROR鏡像:反転コピーを作成する(左右対称の図面に必須)。
FFILLETフィレット:角を丸めたり、2本の線を綺麗に接続する。
XEXPLODE分解:ポリラインやブロック、長方形などを単体の線分にバラバラにする。
EERASE削除:選択したオブジェクトを消去する(Deleteキーでも可)。

特に効果が高いのが、M(移動)・CO(複写)・TR(トリム)・O(オフセット)・F(フィレット)の5つです。この5つだけでも操作の大部分をカバーできる事が多く、最初はこの5つに絞って練習するのがおすすめです。

また、MA(プロパティコピー)も効果の大きいコマンドです。色・画層・線種などのプロパティを別の図形へ一括で写せるため、「他の図面から持ってきた図形の画層が揃っていない」といった場面を数秒で解決できます。

図面の確認に!表示・管理系の定番エイリアス

作業領域を素早く切り替えたり、データを確認・整理するためのコマンドです。

エイリアス正式コマンド機能・説明
LALAYER画層プロパティ管理を開く
現在の画層設定を確認・変更できる。
Z → EZOOM図面全体をズーム:好きな視点に拡大縮小を行う。
REREGEN再作図:現在のビューポートを再作図する。
PUPURGE不要データの削除:図面で使用されていない項目を削除する。
UNUNITS単位管理:作図単位の形式や精度を設定する。
ホイール長押し+ドラッグPANパン(画面移動):画面を掴んで動かせる。

Ctrlキーの組み合わせ

エイリアス機能・説明
Ctrl+S上書き保存:図面を上書きして保存する。
Ctrl+Z元に戻す :直前の1操作を取り消せる。複数回繰り返すことも可能。
Ctrl+Y やり直し:取り消した操作を、もう一度実行(やり直し)する。
Ctrl+1プロパティパレットの表示切替:オブジェクトの色や画層などの情報を確認・変更するパレットを表示・非表示する。
Ctrl+9コマンドラインの表示切替 :画面下部のコマンド入力・履歴エリア(コマンドライン)を表示・非表示にする。

ファンクションキーの組み合わせ

エイリアス正式コマンド機能・説明
F3OSNAPオブジェクトスナップのオン/オフ
設定したスナップ点への吸着を切り替えられる。
F7GRIDMODEグリッド表示の切り替え
作図領域の背景に方眼紙のようなグリッド(格子)を表示・非表示させる。
F8ORTHOMODE直交モードの切り替え:マウスの動きを水平・垂直に固定し、まっすぐな線を引きやすくする。
F10AUTOSNAP極トラッキングの切り替え
指定した角度ごとにガイド線を表示して、作図を補助する。

「狙った点に吸着しない」はF3・F8をまず確認

作図中に最も起きやすいトラブルが、スナップ関連の設定変更に気づかないまま作業を続けてしまうケースです。

「端点を拾ってくれない」「線がまっすぐ引けない」と感じたら、図形やコマンドを疑う前に、まずF3(オブジェクトスナップ)とF8(直交モード)の状態を確認する癖をつけてください。
この確認だけで、表示まわりの違和感の大半は数秒で解決します。

また、Ctrl+9でコマンドラインを誤って非表示にしてしまい、「入力が効かなくなった」パターンも定番のトラブルです。同じキーをもう一度押せば元に戻ることを覚えておくと安心です。

さらに効率化!ショートカットのカスタマイズとチーム共有

自分流にカスタマイズ(エイリアス編集)

「よく使うコマンドなのに、エイリアスが3文字(RECなど)で打ちにくい!」という場合は、設定ファイル(.pgpファイル)を編集することで、自分好みの短いショートカットに変更可能です。

  • AutoCADの場合: [管理]タブ ➔ [設定を編集] ➔ [エイリアスを編集]
  • IJCADの場合: [ツール]タブ ➔ [カスタマイズ] ➔ [エイリアス]

チーム全体で操作環境を統一する(エイリアスの共有)

「同僚にショートカット設定を共有したい」「チーム内で統一したいけれど、一人ひとり設定していくのは面倒…」そんな時は、作成した設定データをそのまま共有してしまいましょう。

上記で紹介したエイリアス編集機能から設定の書き出し・読み込みができる場合もありますし、設定の本体である「.pgp」ファイルを直接コピーして渡すことでも共有が可能です。

社内でよく使うコマンドを短縮した「.pgpファイル」を1つ作り、それをチーム全員のパソコンに上書き。これで誰の環境でも同じようにスピーディーな作図ができるようになります。新入社員の環境構築も一瞬で終わるため、おすすめの方法です。

注意
キー数の少ないショートカットは、他コマンドの入力と重なるリスクがあります。初期設定から大きく変更したエイリアスがあれば、メモを取っておくのが望ましいでしょう。

機能を有効活用した、その他の時短ワザ

コマンド入力やマウスの物理ボタンだけでなく、CADに標準搭載されている「便利な機能」を使いこなすことで、さらに作図時間を圧縮できます。実務で特に効果が高い4つのテクニックを紹介します。

① 「テンプレート」の作り込みでスタートダッシュを決める

毎回、新しい図面を開くたびに「レイヤー(画層)を新規作成して、色を変えて、寸法スタイルを設定して……」とやっていませんか?

よく使う画層、文字の大きさ、寸法設定、会社の図枠などをあらかじめ登録した「テンプレートファイル(.dwt)」を最初に1つ作っておきましょう。これを起動時の初期設定にしておくだけで、作図を始める前の「準備の時間」が完全にゼロになります。

詳しい設定については、以下のページでも案内しています。ぜひご確認ください。

CADの「.dwt」とは?毎回の設定をゼロにするテンプレートファイルの作り方と活用メリットを徹底解説

② 「類似オブジェクトを選択」で一括処理

「このレイヤーの文字だけを全部消したい」「特定の円の色を一気に変えたい」という時、1つずつ選択するのは時間のロスが大きいです。

対象のオブジェクトを1つ選んで右クリック ➔「類似オブジェクトを選択(SELECTSIMILAR)」を実行してみてください。同じ性質のオブジェクトを一瞬で全選択できます。さらに細かく条件(色や画層など)を絞り込んで選びたい場合は、「クイック選択(QSELECT)」コマンドも非常に強力です。

③ 画層ツール「画層分離(LAYISO)」で作業に集中する

線がごちゃごちゃした複雑な図面を編集するとき、誤って隣の線を消してしまったり、狙った線が選択しづらかったりしますよね。

そんな時は、編集したい線を選んで LAYISO(画層分離) コマンドを実行してみましょう。選択した画層以外がすべて一瞬で非表示(またはロック)になり、必要な作業に100%集中できます。作業が終わったら LAYUNISO(画層分離解除) で一瞬で元に戻せます。

④ 「一時オブジェクトスナップ(Shift + 右クリック)」で誤クリックを撲滅

オブジェクトスナップ(端点や交点にマウスが吸い付く機能)は便利ですが、常に「近接点」や「中心」など多くの項目をオンにしていると、意図しない場所に吸い付いて作図ミスの原因になります。

常時オンにするのは「端点」「交点」など最低限に絞り、どうしても「円の中心」や「接線」を取りたい時だけ、Shift キーを押しながら右クリックをしてみてください。その1回だけ有効になる「一時オブジェクトスナップ」のメニューが開き、狙ったポイントを確実にキャッチできます。

まとめ
ショートカットの習得は、週に数個ずつ手に馴染ませていく積み重ねです。まずは使用頻度が高い編集系のコマンドから始めて、リボンに手を伸ばす回数を減らしていきましょう。

そして、その積み重ねた経験は、AutoCADだけに限りません。高い互換性を持つIJCADで、手に馴染んだ操作のまま使える快適さをぜひ体感してみてください。

執筆者

西

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