IJCADの利用で施工現場まで含めた
ライセンス管理を実現。
ライセンス数も1/5に削減。
享保9年から続く老舗総合建設会社
施工実績は国内のみならずグアム等といった海外でも高い施工実績を誇る。今年2015年1月に本社オフィスをこれまでの大阪市天王寺区上本町より浪速区の難波駅直結のマルイトビルに移転。年間売上は約1,200億円。従業員約1,200名
IJCAD導入前のCAD環境について
─まずは、本社移転おめでとうございます。新しい環境でのお仕事は如何ですか?
ありがとうございます。
新しいオフィスは、難波駅というJR、阪神、南海、地下鉄のターミナルの直上で交通のアクセスも良く、オフィスも新しく快適に仕事ができます。
─それは何よりですね。それでは早速ですが、IJCAD導入前の御社のCAD環境について教えてください。
弊社ではこれまで業務内容に応じて複数のCADを使ってきました。土木系はAutoCAD、建築系では、作業所はAutoCADとJWCADが半々。設計部門はDynaCAD を使っていましたが、Autodesk社のsuite製品へ徐々に移行しています。DynaCADは新規案件ではほとんど利用せず、ライセンス数は徐々に減少してきています。最終的には既存物件のメンテナンスのために必要数のライセンスは残す予定です。
JWCADに関しては地方の自治体や建設設計事務所で使っていることが多いので、建築の作業所ではまだ良く使われています。
互換CADを導入された経緯
─なるほど、では御社ではお使いのCADの中のAutoCADの部分を互換CADにリプレースされたわけですね。どのような経緯で互換CADを導入されたのでしょうか?
互換CADを検討することになった理由はいくつかあります。まず、弊社の2次元CADの主流はお話した通りAutoCAD LTなのですが、ネットワークライセンス版が無いためにライセンスの管理が大変でした。それと、Autodesk社のバージョンアップが毎年あるので、それに合わせてバージョンアップコストを考えなければいけないのも大きいです。このライセンス管理とコスト問題が導入を検討するようになった理由です。
ただ、社内には膨大な既存のDWGデータがあり、AutoCADを使い慣れた社員が多い中、全く異なるCADに移行することは考えられませんでした。そこで、CADデータがそのまま使えて、尚且つ操作性が近いということから互換CADを選定の主ターゲットにしました。
互換CADについてはCIC関西部会(建設情報化協議会)で情報を入手していましたが、そこでIJCADという製品を知りました。早速、川瀬に「こんな製品があるけど、うちでどうだ?」と聞いたところ、川瀬はいくつかの互換CADについての情報を既に持っており、互換CADの検証を開始しました。
IJCADを選んだ理由
─そのような中でIJCADを選んだ理由はなんでしょうか?
互換CADとしてIJCADとB社製互換CAD(以下「BCAD」)が検討にあがりました。また、それとは別に当時、営業活動を積極的にされていたベントレーシステムズのMicro Stationも候補にあがりましたが、操作性が随分AutoCADと違うという理由で候補からは早々に外れました。BCADに関しては機能面ではほとんど問題ありませんでしたが、問い合わせに対する回答が遅い等の問題があり、これは海外メーカーの日本の代理店が窓口となっているために仕方がないことかもしれませんが、当社としては長く付き合っていく上で不安を感じました。
IJCADに関してはとにかく営業、サポートのレスポンスが良いということが好評価でした。ネットワークライセンスの対応等もあり、長く付き合えるメーカーということでIJCADに決めました。
バージョンアップにより品質・性能が良くなり、スムーズな移行を実現!
─御社でのAutoCADからIJCADへの移行はいかがでしたか?
導入時のバージョンのIJCAD7は、互換性や品質・性能等にいくつかの問題がありました。しかしIJCAD2013にバージョンアップしてからは使い方やトラブル含めて社内からほとんど問い合わせがありません。AutoCADのヘビーユーザーが使っていていくつかの細かな機能の問合せがあった程度です。作業所では、何の問題も無く使えています。
AutoCADからの移行も驚くほどスムーズでAutoCADを使った経験のあるメンバーには結局、移行のための教育を行いませんでした。
IJCADは情報システムへの質問がほとんどないので、非常に助かっています。現在、IJCADは建築・土木の作業所だけでなく、BIM、CIMの導入を進めている設計部門でも利用しています。
─IJCADのDWG互換性は如何ですか?
IJCADのDWGデータの互換性には満足しています。DWGデータをIJCADで読み込んで問題になることはほとんど無いと考えています。
“トラステッドDWG”の問題に関しても弊社では問題になったことはありません。導入直後、トラステッドではないというメッセージが出たということで問い合わせがあり、確かに少し気にはなりました。しかし、何の問題もなくデータを利用できるので気にならなくなりました。
元より、設計事務所や作業所ではAutoCADだけを利用しているわけではないので、AutoCADで開いたら「トラステッドでは無い」というメッセージが出る可能性はいたるところにあります。自治体もいろいろなCADを使っているので同様だと思います。
ライセンスのコストダウンだけでなく、CAD管理コストも削減
─現在のライセンス数はどの位ですか?
現在はネットワークライセンスで80ライセンス導入しています。
弊社では作業所等で使用する技術職員用のパソコンには全てIJCADをインストールした上で配布するので、PCの入れ替えと同時に順次社内のCADが、AutoCADからIJCADへ移行されています。
─このライセンス数はAutoCADと比べて如何ですか?
元々AutoCADは500ライセンス程所有していました。ただ、どの位同時使用しているかを考えると非常に疑問がありました。
このライセンス数をネットワークライセンスにすることで大幅に減らすことができるというのもIJCAD導入のメリットです。実際弊社では500ライセンスのAutoCADをIJCAD ネットワークライセンスにすることで1/5の100ライセンス程度にできると考えています。
これは非常に大きなコスト削減で、単体コストが安価なだけでなく、その上本数も減らせるとなれば効果は非常に大きいと考えています。
その上、全てのライセンスを情報システムでコントロールできるので、コンプライアンス的にも安心で、CAD管理者の負担もかなり軽減しています。
既に問題無く立ち上がっているIJCADですが、何か要望はございますか?
機能面では特にありません。問題無く使えている訳ですから。強いて言えば情報システムでよく利用するライセンスのログ管理ツールの性能改善をしてもらえると助かります。
互換CAD導入における成功の秘訣は?
─最後に、互換CAD導入を検討されている企業へ何かアドバイスをいただけますか?
当社の場合、導入するうえでチェックしたポイントは、メニュー体系等の操作性が何よりもAutoCADに近いこと、DWGデータの互換性が高いこと、そして安価の3つです。たぶん、他社もほとんど同様だと思います。これは評価版の貸し出しを受けて徹底的に調査し、見積もりを入手すれば判断できます。
問題は、製品では見えない点、特に窓口となっている営業やサポートの対応の評価が重要だと思います。顧客のさまざまな要望に対して小回りの利く対応が、とりわけ導入時には大きな影響が出ると思います。例え、互換CADといえども別のCADを導入する時は、必ず想定していない障害が発生したりするものですから。全てとは言いませんが、とりわけ海外メーカーを選択する場合、その点のチェックは厳しくした方がいいと思います。
※ 株式会社淺沼組のホームページ
https://www.asanuma.co.jp/
※ 取材日時:2015年2月23日